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私はただ、なすがままになっていた。
ふわふわとして心地がいい。
「このお人形さん…かわいい服装してるね」
「…そうですか?……千夜子さんの方が、可愛らしいと思いますよ」
なんだか心まで軽くなったような気分になって、千夜子さんにそう言った。
いつもより、口も軽くなったようだ。
初対面の人にこんなに話すのは正直珍しいと思う。
このアビリティにかかると、自分が分からなくなってしまうようで…
それはそれで、嫌ではない。
しばらくして、千夜子さんが私を地面に降ろしてくれた。
「あなたはこれからどうするの?」
「…ローナは、もう少し、……森の中を歩いてようと思います。」
「…そっか、気をつけてね。
あと、これあげるね。お腹空いてたら食べて」
そう言うと千夜子さんは、私にチョコレートをくれた。
「……ありがとうございます」
私は頭を下げると、再び歩き出した。
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