3:ふわふわ

5/7

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
私はただ、なすがままになっていた。 ふわふわとして心地がいい。 「このお人形さん…かわいい服装してるね」 「…そうですか?……千夜子さんの方が、可愛らしいと思いますよ」 なんだか心まで軽くなったような気分になって、千夜子さんにそう言った。 いつもより、口も軽くなったようだ。 初対面の人にこんなに話すのは正直珍しいと思う。 このアビリティにかかると、自分が分からなくなってしまうようで… それはそれで、嫌ではない。 しばらくして、千夜子さんが私を地面に降ろしてくれた。 「あなたはこれからどうするの?」 「…ローナは、もう少し、……森の中を歩いてようと思います。」 「…そっか、気をつけてね。 あと、これあげるね。お腹空いてたら食べて」 そう言うと千夜子さんは、私にチョコレートをくれた。 「……ありがとうございます」 私は頭を下げると、再び歩き出した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加