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「…あ」
一人で道を歩いていた私は、思わずそう呟いていた。
前を歩いてくる男性も、私の存在に気づいたようだった。
「ローナさん、だったね」
その人は笑顔で私の名前を呼んだ。
「…こんにちは」
私はぺこりと頭を下げる。
確か彼の名前は、
「…天青さん」
名前を呼ぶと、彼は少し笑みを深くし
「覚えててくれたんだね」
と言った。
天青さんとは、あの夜に会って以来だ。
…この人は、いったい身長は何センチあるんだろう?
見上げると、自分よりすごい上に彼の顔が見えた。
「今日はどこに行くの?」
天青さんは私に問いかける。
「……和杷さんに頼まれて、買い物に行くんです」
天青さんは、そうか、と、なおも笑っていた。
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