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傾いた陽射しに焼かれている彼の肌は白く、白日の下に出る事よりも、机に向かって筆を動かす事を優先してきた事が伺える。
その筆を止めてまで、僕に話しかけ、僕の心に働きかけているのだ。
この僕の心が、そんな彼の思いに動かされない訳がない。
自然と顔は上を向き、終始黙ってくれていた彼女に目を向ける。
「……部長。やっぱりもう少し、文芸部に居させて下さい」
「当たり前よ。貴方には卒業以外で退部する方法なんてないわ」
食い気味に放たれた女王のような発言。言葉の刺々しさとは打って変わったように、部長の笑顔が眩しい。
きっと西日が眩しいだけなのだと、思いたい。
「さて、副部長の私が部室まで案内しますよ。着いてきて下さい」
はいはい、なんて言って流しながらも、副部長の背中が頼もしく見え、ゆっくりと着いて行く事にした。
しかし、興味が湧き、書いてみようとは思うものの、何を書けば良いのだろう。
初めてなのだから、徒然なるままに書き綴る訳にもいかないだろうし、副部長の書いた様々な世界観を見た後で、そういった物語は思いついたと言うよりも、明らかに模倣になってしまう。
そうこう考えている間にも、部室に戻ってきた。
見慣れた空間に、見慣れた顔ぶれ。そのどれもが白い目で僕を見るが、その瞳には僕が新たに抱く思いは映らない。
わだかまりがある事は、部長も副部長もなんとなく知っている事だろう。
僕の心は変わりやすいが、他の人は違うのだ。
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