第2章

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 これも違ったか。自然と呟く。そしてゆっくり手にした本を閉じ、目を閉じて深呼吸する。  やはり何も感じてはいない。  本を買い、読み耽る。  これが僕の普段の生活にどれほど染み付いている行動なのか、同じ組になった事のある者は知っている事だろう。  登校し、席に着くや否や、すぐに鞄から本を取り出す。授業を終え、休み時間に入れば本と睨めっこ。放課後は教室に残り、キリの良い所まで物語に没頭する。  帰宅して、課題を終えるとまた本を手に取る。  僕はここまで徹底して本を読んでいるのだから。  友達がいない訳でもなく、グループ分けなどの機会があれば、漏れる事もない。  人間関係において言えば寧ろ、僕は扱いやすい部類の人間であり、煙たがれる事など万に一つもなかった。  心の動かされやすい僕は、俗に言う優柔不断であり、浮気者と呼ばれる類の人間だ。  熱弁されればそちらに傾き、嫌いだと言われれば、僕も相手を嫌いになる。  なんと単純な性格か。どれほど自分がない人間なのか。  さて、今日はこの本を売りに行こう。  買った時の目的は果たせなくても、売ればお金になってくれる。  もちろん買った時の額には及ばない値だが、全額払って何も得ないよりは少し返ってくる方がましだと言えよう。  そうやって本を売る行為も、とても手慣れたものである。  さてと、新しい本を買うとしますか。そうやって、本屋を物色するのも僕の生活の一部となっている。
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