第1章

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翌日、早朝。 正面の門で箒を持って、立っている一徳。 「おはようございます」 道行く人に、挨拶をしている姿を見ていた住職は、 「昨日の説教が、聞いたんじゃな」 と思っていた。 一方、 「何やってんだ。遅いぞ」 朝刊を待っていた一徳であった。 「朝刊でーす」 新聞配達から新聞を奪い直ぐに目を通した。 「あった、これか」 昨日の殺人事件の記事を待っていたのだった。 新聞によると、 死亡推定時刻は、六月十日の午後十一時頃。 凶器のナイフで、刺されて死亡。 犯人の手掛かりとしては、ナイフに指紋が付着していた。 死亡したのは、平川 一 ㈱アフターケアの役員。 会社から、公園までの足取りが解っていない。 不可解な事は、子供が取り付けた巣箱に、平川の指紋が付いていた。 「こんだけじゃ、わかんねーな」 あくびをしながら、本堂へ向かった。 朝のお経が終わり、住職が座り直し 「今日は一徳と、大森さんの法要に出かけます。修君と晃君は、留守番お願いいたします」 三人頭を下げた。 住職が本堂を後にし、続いて三人も本堂を後にした。
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