第1章

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着替えた二人は、繁華街の地下にある、小さなステーキハウスに入った。  カラーン、カラン、カラン ドアに着いているベルが心地良い音を発する。 「おう!」 「五十嵐さん、ご無沙汰です。どうぞ奥へ」 「元気にやってるか」 「五十嵐さんのお陰です」 店のマスターは、一徳が刑事時代に世話をした一人であった。 「じゃあ、いつもの二つ」 「はい、かしこまりました」 料理を待っている間に、恐る恐る晃は一徳に聞いた。 「いつものヤツって何ですか?」 「サーロインだよ」 「肉ですか???」 「晃な、食べ物一つ解らないと、良い説法が出来ないだろう」 そう言っている途中で、 「五十嵐さん、お待たせ」 「おう、来た来た」 「五十嵐さん、お弟子さん増えたんですか」 「この前の弟子と同期、二人しかいないんだ。よろしくな」 「ライス大盛り、サービス致しましたから」 「悪いね、頂きます。ほら、晃も」 「有り難う御座います」 「さぁ、食うぞ~!」 「コーヒー、後で持って来ますので」 マスターは、調理場へ戻った。 「どうした晃、食いたくないのか。それとも、不味そうだから食いたくないのか」 「違います。お肉ですよ」 「晃な、殺生って言うけどな、植物だって生き物なんだ、植物は殺生しても良いのか。生き物に甲乙付けるのか」 一徳にそう言われれば、返す言葉もない。 「頂きます」 食べ終わる頃に、マスターがコーヒーを持って来た。 「どうですか、お味は」 「変わらず、旨いね」 「有り難う御座います。今日は、ゆっくりして下さい」 「ゆっくりしたいんだけど、次があるからな。今度、ゆっくりしに来るから」 コーヒーを飲んで店を出た。
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