第1章

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晃の待っている車に戻り、 「晃、運転変われ」 「はい」 助手席に乗り込み出発した。 「五代目、寺に戻りますか」 「ああ」 その時、後ろからパトカーがサイレンを鳴らしながら、追い抜いて行った。 「事故ですかね」 「晃も気を付けれよ、坊主が事故ってカッコ悪いからな」 と言っている最中、一台の車がパトカーの後を追う様に、追い抜いて行った。 「晃、あの車を追えー!」 「今、安全運転の話してたじゃないですか」 晃の頭を小突きながら、 「つべこべ言わないで、あの車に追いつけ」 「これが精一杯ですぅ」 追い抜いて行った車は、県警の覆面パトカーだった。 元刑事の勘がはたらいた。 普通であれば電気が走ったという表現だが、仏に使える身、一徳の頭の中では凛の音が響いた。 晃の運転する車は、覆面を見失う事無く遠巻きながら付いて行った。
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