19人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところで田上、殺しか」
「五十嵐。殺しだが、民間人は捜査出来ないんだからな」
「解ってるよ。じゃあ俺、帰るわ」
「後で連絡するから、待ってくれな」
一徳はロープを潜り、車に戻った。
「晃、どうする」
「どうするって、何をですか」
「着替えだよ」
「あーっ、どうしましょう。大変だ」
「めんどくせー、このまま帰るか」
「五代目、それは勘弁して下さい。住職に叱られます」
「解ったよ、コンビニでも寄るか」
コンビニのトイレで着替え、寺に戻ったのは夕刻の五時を過ぎていた。
「ただいま、戻りました」
住職の部屋に行き、報告をした。
「遅かったでは」
ここは一徳が
「はい、事件に遭遇しまして。事情を聞かれたので、少々遅くなりました」
「事件とは、公園での件かな」
「知ってた。それなら話が早い、そこで私達を見たという話がありまして、それで、警察に事情を聞かれたのです」
一徳は上手く行ったと思った。
「その公園に、行ってたのじゃな。道順と違うところを遠回りしたのかな」
住職に逆質問され戸惑う二人、
「晃君、そうだろう」
「いえ、あの・・・」
晃は、しどろもどろになった。
「馬鹿者、公園で着替えなどするから犯人と間違われるのじゃ」
住職に説教を食らい、二人で境内の掃除をして許しをもらった。
「今日は、早く寝るわ」
晩酌もせず、一徳は床についた。
最初のコメントを投稿しよう!