第1章

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「ところで田上、殺しか」 「五十嵐。殺しだが、民間人は捜査出来ないんだからな」 「解ってるよ。じゃあ俺、帰るわ」 「後で連絡するから、待ってくれな」 一徳はロープを潜り、車に戻った。 「晃、どうする」 「どうするって、何をですか」 「着替えだよ」 「あーっ、どうしましょう。大変だ」 「めんどくせー、このまま帰るか」 「五代目、それは勘弁して下さい。住職に叱られます」 「解ったよ、コンビニでも寄るか」 コンビニのトイレで着替え、寺に戻ったのは夕刻の五時を過ぎていた。 「ただいま、戻りました」 住職の部屋に行き、報告をした。 「遅かったでは」 ここは一徳が 「はい、事件に遭遇しまして。事情を聞かれたので、少々遅くなりました」 「事件とは、公園での件かな」 「知ってた。それなら話が早い、そこで私達を見たという話がありまして、それで、警察に事情を聞かれたのです」 一徳は上手く行ったと思った。 「その公園に、行ってたのじゃな。道順と違うところを遠回りしたのかな」 住職に逆質問され戸惑う二人、 「晃君、そうだろう」 「いえ、あの・・・」 晃は、しどろもどろになった。 「馬鹿者、公園で着替えなどするから犯人と間違われるのじゃ」 住職に説教を食らい、二人で境内の掃除をして許しをもらった。 「今日は、早く寝るわ」 晩酌もせず、一徳は床についた。
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