side K

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そう言って慌ててジョッキと取り皿を杉中さんと交換した私は、さっき空にしたジョッキに残っていた一滴を、喉丸見せで飲み干す。 「注いできましょうか?」 「いえっ! 自分で行ってきます」 ここのビアガーデンはセルフなので、私はあたふたしながら4杯目を注ぎに行って戻ってきた。 波の音が遠くから聞こえる。 こんな素敵な場所で素敵な南条さんを前に、私は何をバカなところばかりご披露しているんだろう。 業務中なら、まだなんとか普通に接することができるのに……。 「4月に」 「はいっ! 4月に?」 南条さんのほうから話しかけてくれたもんだから、私は光の速さで相槌を打つ。
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