side K

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私もね、ちゃんと自分の幸せのために生きているんだよ。 帰ったら、先日買いだめした同人誌たちが待っているんだよ。 中でも、受けが枯れオヤジのやつで、攻めが一見ヘタレのロールキャベツ系大学生のやつがまたレアで……。 「小宮さん」 「ふぁい!」 試合開始の合図みたいな返事をスルーして、今日も素晴らしく整ったお顔のお人が私にご指示くださる。 「今から外回りで席を外しますので、3時になったらK社の益本(ますもと)さんにこの書類をFAXしておいてください」 「はい! わかりましたっ」 彼がフロアを出たのを確認すると、肩に入れていた力を思いきり抜き、前に雪崩れてデスクと同化する。 「南条(なんじょう)さん、いつの間にお昼から帰ってきてたの?」 「“承知のすけ”あたりからですね」 「ぐは、吐血。……さようですか」
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