side K

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南条 実篤(さねあつ)27歳。入社6年目。 目鼻立ち、王子。身長体つき、王子。立ち振る舞い、王子。髪質、王子。声、王子。仕事のでき、王子。手首の骨の出っ張ったところ、王子。 もう、王子じゃないところを探すことのほうが難しいんじゃないかと思うくらい、私が拝見してきた殿方の中で一番ロイヤルなお方だ。 「なにブツブツ言ってんですか? 先輩。ていうか、そろそろ慣れたらどうです? 南条さんが2課に来て、もう3ヶ月目ですよ」 「いや、ほら、だって、ほらアナタ、アナタはいいよ、彼がいてリアルなイケメンに慣れてんだから。私はほら、だって、ほら、……ほら、ね」 「彼氏いない歴10年のことですか? 乙女ゲーにハマり過ぎてることですか? 腐女子だってことですか?」 「うわっ! 全部口に出して言っちゃダメなことでしょ! 梅原(うめはら)ちゃん」 ホント困ったちゃんなんだから! …………って、まぁ、5歳も下の王子に熱を上げて、一番困ったさんは私だって、……えぇ、まぁ、自覚していますけれども。 えぇ、はい。
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