side K

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南条さんのことは、彼が入社したての頃から知っていた。 というか、知らない人はいなかった。 奥二重切れ長の目、通った鼻筋、形のいい唇、小顔で長身。 細身だけどガリガリではなく、無駄のない良質な筋肉がスーツ越しでも透視できそうな……。 ……とにかく彼は、女はもちろん男も認めるイケメンだった。 大学を卒業したばかりだというのに物怖じせず、だからと言って偉そうではなく、きちんと礼節をわきまえている品のあるイケメン。 おそらく育ちがいいんだろう。 当然ながら社内は色めき立ち、例にもれず私も心の中で4回転半ジャンプ。 しかも当時ハマっていた恋愛ゲームの王子に顔も雰囲気もそっくりだったということも手伝って、違う課ながらも、彼の横顔や残り香に悶えたものだった。
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