side K

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けれども、残念なことに、いや、私にとっては幸運なことに、彼には愛想というものが欠けていた。 表情が乏しく、口数も少なく、彼にアプローチした女性社員の半数以上が断念してくれた。 だからといって、……うん、だからといって私の勝算が上がったわけではないんだけど。 えぇ、身の程なんて十分承知していますよ、なんてぼやいていた今年4月。 彼は営業1課から2課へと異動、そして私がその補佐につくことになったもんだからもう。 ……もう。          
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