第1章あらため ひとぉーっつ!

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「は・・・へ・・・じ、地蔵?」 何が何だかわからない男は、ぽかーんと目の前の石の地蔵を見つめた。 一体は、赤い前掛けをスカーフのように首までたくしあげてなびかせている。 一体は、子供にでも落書きされたのか、唇に蛍光ピンクのペンキが塗られている。 一体は、ぴかぴかに磨かれて真新しい絹の衣を身にまとっている。 一体は、風雨に晒されたあとが残り、足元が苔むして緑色になっている。 一体は、うす汚れて黒ずみ、頭が欠けている。 そんな地蔵たちが、自分を取り囲み、ポーズを取って人の言葉を話しているのだ。 男は腰が抜けそうになった。 その男の前に、唇ピンクの地蔵が進み出た。 「私がいる寺はね、どーしよーもない男に苦しめられている女性の駆け込み寺なのよ!だから、あんたみたいな男を見ていると、ムカつくわ!  私の秘技を食らいなさい!  秘技!SIN・GAN!」 桃の目が、くわっと・・・開かれはしなかったが光った。 「何ですか、あの秘技?」 新参者の黒が、緑に聞く。 「単なる心眼です。我ら全員が出来ます。ちなみに、目を光らせる必要はまったく皆無です。」 単に、かっこつけただけだったらしい。
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