第1章あらため ひとぉーっつ!

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「まいる!!」 5人の同時の掛け声に、男の体は硬直して動かなくなった。 「ひとぉーっつ!!!!」 赤の声が響く。 「悲惨なハゲになる!」 「・・・・・・・・・は?」 動けないながらも、男はその言葉に顎ががくーんと落ちた。 そして、言葉は続く。 残りの4人からも。 「ふたぁーっつ!不幸なハゲになる!」 「みぃーっつ!醜いハゲになる!」 「よぉーっつ!よからぬハゲになる!」 「いつーっつ!いびつなハゲになる!」 「その身より毛とともに落ちよ、煩悩!  オンカカカ ビサンマエイ ソワカ!!  キエーーーーーッ!」 気合い一発! その瞬間、男の金縛り状態が解けた。 それと同時に。 「へ?は?え?・・・ぎゃあああ!!」 男の絶叫が、周囲の空気を震わせた。 「な、なななななない!なくなっている!嘘だぁぁぁぁ!!」 男の油まみれのぼさぼさの髪が、足元にばさーっと散っていた。
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