第1章あらため ひとぉーっつ!

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「この男は、俺が寺に連れて行く。住職たちは驚くだろうが、どうにかするだろ。魂抜けかかってるし、後で俺たちの記憶も抜いとく。」 「じゃあ、私はりりかちゃんの夢枕に立って、もう安心よーって囁いてあ・げ・る。」 「僕は、当主の夢枕で黒の修理をお願いしてみよう。なに、礼はいらないよ。これもまた当主の徳を上げるよい機会だしね。」 「私は町内会長の夢枕にでも立って、明るい街灯をつけるよう進言してみましょう。あなたも一緒にどうですか、黒。」 「ぜひ!」 「よおっし!今夜もまた、苦悩にまみれた人間たちを大いなる心で包み込んで救ったぜ!」 5人の地蔵は、互いの錫杖を高々と掲げ、カツンと合わせた。 「弥勒菩薩様がお目覚めになる56億7千年後まで、我ら地蔵が人の世を救うぞ!おー!!」 よくよく考えれば。 はた迷惑な誓いの言葉が、空き地に響きわたった。 .
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