第1章あらため ひとぉーっつ!

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「あれ!あれ全部!日本支部の地蔵どもから送られてきた報告書だぞ!しかも、小さいことをちまちまするたんびに報告書を出しおって!」 『寝坊して会社に遅刻ししそうな新入社員の耳元で起きろと囁き、上司からの叱責より救済いたしました』 『風にあおられて飛びゆきそうになった乙女の下着を、取り込まれるまで押さえておりました』 『家計のやりくりに困る主婦のために、スーパーの特売のもやしを2円安くいたしました』 『ボケて、ばあさんお昼ご飯はまだかのうと昼食後に要求する老人に、お供え物の饅頭を差し上げました』 「これ!全部!報告してきおったから、わしが決裁するんだぞ!?気が狂うわ!」 「ですが、報告が義務づけられておりますし、彼らの行いは組織の規律通りですので、非はありません。」 自分には決裁の仕事は回ってこないので、事務次官タイシャック・チンは長官に冷たい。 「それより長官。長官は常々彼ら地蔵と仲があまりよろしくないようですが、何か理由でも?」 地蔵たちが寄越してくる報告書にも、その拗れっぷりがにじみ出ている。
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