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それから3日後。
すっかり辺りが静まりかえった夜の10時。
「ぐへへへ。今日はりりかちゃん、遅番でこれから帰ってくるはずなんだ。げへげへ。」
トレンチコートをボタンも留めずに両手で合わせている変態ど定番の男が一人、待ち伏せていた。
コートの下は、想像通りだろう。
実年齢=彼女いない歴を如実に語るようなその男は、電信柱の陰に隠れていた。
やがて。
「りりかちゃん!」
コツコツとヒールの音が聞こえ、不安そうに辺りを伺いながら足早に歩いてくる小柄な女性が一人。
彼女がバス停から自宅に戻るには、ここを通るしかないのだ。
にもかかわらず。
「え?」
電信柱の手前で、急に彼女が左に曲がり路地に入ってしまった。
男は慌ててその後を追う。
女性は、男から一定の距離をおいて、しばらく歩き、そして止まった。
周囲は、民家もない空き地。
男はにんまりした。
「ぐへへ。りりかちゃーん、わざわざこんなところに連れてくるなんて、やっと僕ちゃんを受け入れてくれるんだねえ?ぐふふ。」
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