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扉を抜けると出たところは趣を感じる古い造りの家の庭にいた。
気が付いたら服装も先程闇の中にいた時の裾が破れたような黒いワンピースではなく、暗めな色の袴を着ていた。
「ぐ・・・あ、お・・・い、強く・・・生きろ」
苦しそうな声で俺のあだ名を呼ばれ、驚いて明かりのない開け放たれた部屋に視線を向けた。
「あ・・・あああ・・・あああ!!」
微かな月明かりに照らし出された見飽きた顔と不気味に冷たく光る刀。
着物が真っ赤に染まり、それでも一切表情を変えることなくその場に佇んでいるのは、ほかでもない。
俺だった・・・・・・
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