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息苦しくなって目が覚めた。
まるで水中にいるみたいに息ができず、焦ってそのばでもがき苦しんだ。
「・・・!・・・・!」
助けを呼ぼうにも声がでず、さらに焦ってしまい苦しむばかり。
酸欠により頭がぼうっとしてきて、歪んだ視界で捉えたのは一つの黒い人影。
「落ち着きい。ゆっくり息を吐いて・・・吸って・・・」
体に馴染む、落ち着いた声の人だった。
俺の体を仰向けにして、自分の体に寄りかかるようにして俺の楽な姿勢にしてくれた。
ゆっくりと俺の背中を呼吸をするリズムでゆっくり撫でながら、
何度も何度も「大丈夫や。落ち着きい」と声をかけ続けてくれた。
まだ呼吸はまだ乱れているが、先程より落ち着いてきた頃。
部屋の外から静かな足音が聞こえた。
「・・・わいはもう行かなあかん」
そう一言言って立ち上がった彼は、大丈夫とでも言うように優しく俺の頭を撫でて一瞬で目の前から消えた。
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