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良かった・・・落ち着いてきたみたい。
葵が寝息をたて始めた時にその時はきた。
「おい。もういいだろ?いい加減に状況を説明しろ」
さっき私が言っていたことを気にしてくれたのか、苛立ったりすることなく落ち着いた声だった。
やっぱり、きた。
こうやって聞かれることは最初からわかっていた。
誰だって、知らない人が自分の家にいて過呼吸なんて起こされていたら驚くし、状況が知りたくなるのは当たり前だ。
だけど・・・
「わかりません」
「は?」
「わからないんです。なぜこんなことになったのか、なぜ私たち二人がここにいるのか」
私がそう答えた瞬間。
質問してきた男の眉間に皺がよるのが見て取れた。
こんなことをいったら怒って切られるかもしれない。
けど、下手な答えを出してそれが嘘だとバレたら。
次の瞬間、きっと私は息をしていない。
だったら本当のことを言ったほうが切られる可能性は少ないと思う。
それに・・・葵の過呼吸を抑えるためだったとはいえあんなにでかい態度で命令をしてしまった私にも怒ることなく黙って協力してくれた。
この人たちが悪い人、もしくは残忍なだったらあの時既に私は殺されるか怒鳴られていただろう。
だから・・・この人たちはきっと私の話を最後まで聞いてくれる。
そう願いたい・・・
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