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沈黙が続く。
私と葵の運命は今目の前にいる男の言葉で決まる。
私はできるだけ姿勢をぴんと伸ばし、まっすぐに男の目を見つめた。
まるで少しでも目をそらしてしまったら信じてもらえないとでもいうように・・・
先に目をそらしたのは男のほうだった。
少し諦めたような顔をしていたが、目をそらしたのはそれ以外にも理由があるみたいで、視線が部屋の外に向けられていた。
「沖田です。失礼します。幹部全員。連れてきました。」
「ああ、ご苦労」
部屋にさらに数人男の人が入ってきて小さな部屋はひとでいっぱいになった。
その場にいる全員がこの部屋に入ろうとすると必然的に葵との距離も近くなるわけで・・・
近づかないで。
そう言いたかったけど怖くて言えなかった。
怖くて緊張したせいで葵の手とつないだままになっていた手に自然と力がはいっていた。
「ん・・・」
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