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「あの、連絡しなかったこと……ごめんなさい」
「……別に」
チラッとこっちを見て反らされる。
「……怒って、たんじゃないんですか?」
「……別に」
ふぅーって、煙を吹き出して遠くの方を見てって……その態度や言動に引っかかって。
少し、ほんの少しだけど苛立った。
だって怒っていないと言うなら、その態度はなんなのか分からないし、別にって……。
「……なんて、連絡すればいいか、分からなかったんです。男の人に、連絡先教えてもらった、ことないし。もともと自分からって苦手だし」
苛立った勢いって言うやつかもしれない。
普段なら言えないことが口から出て止まらない。
「だから後でなんて連絡しようかなって、考えてて。……なのに、そんなことくらいで、おこ…怒らないで下さい」
「怒ってねーけど」
「怒ってる、じゃないですかっ」
声を上げると、ジロッと睨まれて肩をすくめた。
今のは怖かったです……。
だけど此処で怯んじゃダメだと思ってグッと拳を握った。
「梓さんが言ったんですよ?」
「何を?」
「……っ梓さんが、ちゃんと気持ちにしないとダメって!!思ったこと、ちゃんと伝えなきゃダメだって!!」
なのに、梓さんは何も言わない。
絶対何か思っているはずなのに……。
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