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「つまり、ただボーッとしてたら、おれが来た。って、それだけなわけね」
コクン。
高城さんが、あたしの代わりに纏めてくれた。
だって他に言いようがない……ましてや、高城さんが言ったように梓さんを待ってた……なんて決してない……よね?
「そ。なあんか、面白い展開になる予感がしたのにな」
ちえって、興味をなくした高城さんが、あっと掌を打ち付けあって、あたしの顔をニヤリと笑って見つめてきた。
な、なんですか!?
こ、怖いです。
「そういやさ、この間聞けなかったから、ちょうどいいし教えてくんね?」
この間って、いつの話かなって記憶の整理をしてみたけど、そんなに会ってないよね。
由梨ちゃんといた時と、あの賭けの時……。
「結局あの写真の男って、子豚ちゃんのなに?」
……ああ、やっぱりそっちなんだ。
そして、あたしが梓さんと関わるきっかけになった学生手帳の中に入れている写真。
それがあったから、あの賭けは始まって、だけどそれがなければあんなに必死に探すこともなくて、そうしたら梓さんとは此処まで関わることはなかったかも。
良かったのか、悪かったのか……。
「なあ、聞いてる?」
「……あ」
顔の前で大きな手が揺れる。
そっか、写真の人……ね。
別に隠しているわけでもないけど、それを知ってどうするつもりなんだろう?
ニヤニヤと笑って待ってる高城さんを見て、全く良い予感はしないのは確かだ。
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