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大学生の誠さんに、お父さんを重ねるのは悪い気もするけど、じゃないと男の人が何よりも苦手なあたしが打ち解けるわけもなくて。
家がある階についてエレベーターを降りると、誠さんか言った。
「ねえ、今日はおばさんいる?」
「今日は、夜勤でいませんけど……」
最近のお母さんは夜勤が増えた。
一緒に働く人が子育て世代が増えたらしくて、お母さんは自分がしてあげられなかったからって、その人達には夜は出来るだけ子供と一緒にいてあげなさいって、夜勤を多く引き受けているって。
そんなお母さんを誇りに思うと同時に、あたしは1人でもいいのかなって、ちょっと複雑。
「そっか。だったら家も今日いないから、一緒に夕飯食べようか」
「え?」
「これから作るのもなーって思ってたから、ファミレスにでも行かない?」
誠さんとファミレス。
一緒に食事をしたことはあるけど、外食は初めてで緊張するけど、あたしも1人の夕食より誠さんとならそっちの方がいいと思って頷いた。
梓さんに連絡どうしよう……。
帰ってきてからでも大丈夫かな?
「じゃあ、ここまできて引き返すことになるけど行こうか」
「あ、はいっ」
今から連絡する時間もない、だから後にしようって、まるで連絡したくない言い訳のように感じながら、誠さんとまたエレベーターに乗ってファミレスに向かった。
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