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なのになんで連絡してこねーんだよ。 おれはメールは苦手。 何を書いて良いかわかんねーからなんだけど、だけどおれの予想では小夜は電話が苦手とみて間違いねえから、だから書くのが面倒だけどアドレスまで書いてやったってのに。 もう一度言う、なんで連絡してこねーんだよ。 「おーい梓。みんなお前のその冷え切った目線が怖いって脅えてますけどー」 「ああん?」 みんな、と言った弘樹を睨めばニヤニヤ笑って前方を指差す。 「あ、あの~なんかあったんすか?」 弘樹を真似て中学生になってすぐ金髪にした一番派手なガキは──鈴木流星(すずきりゅうせい)は、おれや弘樹のダチの弟で、兄貴ではなくおれらの後ろばっかついて回るワンコロみたいな奴。 「……機嫌悪い」 んで、この流星の隣にいる大人びた黒髪眼鏡は那智浩介(なちこうすけ)。 流星と幼なじみで、流星に付き合わされる形で、こいつもまたおれらにつきまとう。 「………腹、減った」 そして一番ガキくせえちび助のコイツは柳瀬陽向(やなせひなた)。 ついこの間、流星が喧嘩して仲良くなったとか言って連れてきた女より女っぽい顔をしている。 この3人は、おれがウザいと追い払っても何故かしつこく湧いて出てくるもんだから、扱いがわらねえ。 さすがにガキを力でねじ伏せるわけにもいかねーし? 「ほらほら、年頃になった梓くんなんてほっておいてお前らは飯食ってデカくなれ~」 「……おい、なんだその年頃って?」 弘樹と溜まり場に用があって行けば、既にコイツらもいて腹減ったーってすがりついてくるもんだから、弘樹がファミレスに連れてきて今に至る。 面倒見が良すぎるのもどうなんたろうな。
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