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「子豚ちゃん、前より表情出るようになったよな。最初はおれらを見て怯えててさ、あーやっぱりこの子もおれらを見下してんのかって思ったけど、最近じゃあ怯えてもねーし、終いには怒られたし?」 弘樹の言う通り、小夜はいつも緊張してか引きつった表情をしていたが、最近じゃあ笑ったりムクれたりと色んな表情をおれに見せる。 おれらを蔑む周りの奴らのような目では見てこなくて、それどころかおれらに心を開いてくれていくのが嬉しいとさえ感じている。 そして今日、おれが帰ろうとすると、顔を赤くして眉を垂下げて寂しいって全身が訴えて。 色目しか使ってこねー女の中に、妹以外であんな顔をされたことはなくて、自然と構ってやりたくなった。 ホント自然に、当たり前に。 「なー、梓。あの子なら、お前の不安も受け止めてくれんじゃね?」 さっきから何も言わないおれと、何故か上手く会話が出来ている弘樹。 付き合いが長いから成せること。 そして、おれが女に本気にならない理由を唯一知るのも弘樹だけ。 おれの不安ね─────
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