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「いらっしゃいませ。二名様ですか?お煙草は吸われますか?」 食事時のファミレス。 ひっきりなしに客がやってきては出て行く店内。 「なあ、梓。子豚ちゃん……」 おれの中に芽生え始めた気持ちが分からず、その歯痒さに唐揚げに伸びかけた箸を止める。 と、同時に弘樹も何か言いかけて止めた。 「さっきから、子豚子豚ってうるせーぞ」 お前は、おれに何を言わせたいんだよ。 だいたいこんなイライラすんのも、小夜のせいだろ。 別れ際あんなに眉を垂下げていたくせに、なんで連絡してこねーんだよ。 あームカつく。 「梓、お前キレんなよ?」 「あ?」 んなこと言うお前にキレるぞ。て目線を向けると、ヒョイヒョイと箸でアッチを見てみろと言いたげな弘樹。 なんだよ?と、顔を箸の先に向けると。 ───────あんにゃろ……泣かしたろか。
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