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「さっきから、子豚とかイケメンとかなんなんスかー?」
パクっと白飯を口いっぱい頬張った流星が、とうとう我慢の限界に達したのか背後を振り返る。
それにつられるように、陽向や浩介まで。
「ファミレスに子豚がいるなんて……あれ?」
流星が何かを見つけて首を傾げて、隣にいた浩介の肩をツツいて「あれってさー」とか「…だよな?」とか、何やら会話をしていて、おれの眉がつり上がる。
「どったの?お前ら?」
弘樹が聞けば「いやえっと、あの人……」と、顔は弘樹に指は例のイケメンへ。
「浩介の家庭教師だよなーって」
「は?」
「………」
無言で浩介を睨むと察しの良い浩介はおれが言いたいことが分かるのか、コクンと頷いて話し出した。
「……今は月一とかだけど、小学生の時に世話になった人。名前は片桐誠(かたぎりまこと)さん。二十歳くらいだったかな」
「へえ~、ふうん」
ニヤニヤと何か企んでいそうな笑みを浮かべる弘樹。
「あの人、すっげー頭良いけど鼻にかけてなくて、浩介んうちに遊び行ってたおれの宿題までみてくれて~、良い人っスよ~、なあ浩介!!」
それにコクンと頷く。
良い人そうだわな、あれは。
小夜に笑いかける顔は、おれなんかよりも遥に優しくて甘そうだ。
だからか、小夜があんな女みたいな顔をしているのは。
へー、ふうん、そーですか。
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