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「あの人は?」 ガブッと冷めた唐揚げに噛みつくと同時に、おれの向かい側に座る陽向がカタギリつっーイケメンの隣を指差して言う。 「彼女?」 「……ぷっ!!」 隣で肩を揺らす弘樹の足をテーブルの下で蹴った。 「お前やっぱりまだガキだな~。あれはカップルって雰囲気じゃないだろ?あれは、そうだな。浩介と同じなんじゃね?」 「な?」て、何故おれに振る。 カップルの雰囲気なんて、人それぞれだろう。 だからおれがわかるかってーの。 だけどあれは確かにカップルとは言い難い、どちらかと言うとおれや真理子と同じような雰囲気じゃね? そう思うと、少しイライラがスーッと晴れた気がした。 ………なんでだよ。 「えー、そんなんわからねーって!おれ確かめてくる~!!」 「おいっりゅっ…」と、引き止めようとした弘樹の手が虚しく宙を舞う。 「ガキって末恐ろしいな。でも、まあー……モヤモヤ取れるかもよ?」 「あ?」 イラッ!! 「あれ?モヤモヤしてんじゃねーの?」 「チッ」 「あーっ!こら梓っ、おれの取って置いたエビフライ取んなよっ!!」 「……ひるかっ(知るか)」 お前がいちいち余計なことを言うからだ。 そして視線の先に走って行った流星を追って、タカギリと小夜の前に立つと慣れ知った風にカタギリの肩を叩いて話し出す。 適当に話して直ぐ戻ってくると思えば、カタギリの肩を奥へ行けと押して隣に座り込み、真っ赤な顔して俯き加減で流星とカタギリを見ている小夜にまで話しかける流星。 アイツは人懐っこい奴だから、初対面と関係なく誰に対してもフレンドリー。 それを良しと取ることもできるが、小夜にはちょっと荷が重いだろう。 その証拠に、唇をキュッと噛んで視線が泳いでるし。 視力の良いおれだから、はっきり見える小夜の変化。 「そんなに見てると、子豚ちゃんに穴あいちゃうよー」 ………うぜえ。
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