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第一話 君の鼻歌
「ん~ん、っん~んん~ん♪♪」
新入生が着る、汚れ一つ無い制服。
女子が着ている制服の緑のリボンが風になびく。
退屈な入学式は終わり、残すは学校案内。
めんどくさっと言う気持ちで一杯だった。
小さい頃からこの「音響高校(おんきょうこうこう)」に通うことに憧れていた。
勉強が大の苦手だった俺は入試の時、必死に勉強した。
そして俺はギリギリで「音響高校」に受かることが出来た。
待ちに待った入学式だったが中学と何も変わらないことに俺は心底がっかりした。
学校案内なんてどうでも良い!!帰ろ・・・・・・そう思った。
でも時すでに遅かった。
適当に歩いていたら全く知らない場所に立っていた。
目の前には大きな扉。
<美術室>
俺は耳を澄ました。
「んん~ん~んん、ん~んん~ん♪♪」
扉の向こうから聞こえて来たのは鼻歌だった。
綺麗な声・・・・・・楽しそう!!っとその時の俺はそう思った。
俺は鼻歌の主が気になり、扉を少し開けてみるとると、透き通った春風が扉の僅かな隙間を通り抜ける。
俺はあっちから見えないように中を覗いてみた。
新入生の緑のリボンが風になびく・・・・・・女の子だ。
筆を構えている・・・・・・絵を描いて居るようだった。
でもどうしてかこの女の子に俺は不安感を拭いきれなかった。
これからこの子の身に何かが起きるのではないかと、心配になった。
心配とは逆に、この子の鼻歌を聴いているだけで不思議と俺は元気が出て来た。
きっと大丈夫!!と断言できるほどの安心感だった。
俺はこの女の子と仲良くなりたいとこの時、微かに思った。
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