4人が本棚に入れています
本棚に追加
序章
白。
目を開けて飛び込んできたのは、真っ白な空間。周りを見回しても、すべてが真っ白だった。恐怖すら感じるその静かな空間に、ただ一人、浮かんでいた。
金縛りにあったかのように動く事の無い体。足は地についておらず、浮遊感覚だけがあった。
ドクドク。
耳に大きく聞こえる鼓動。まるで、空間全体に響いているようだった。そして、夢にしては鮮明な情景やリアルな感覚に、心臓が高鳴っていた。
夢だと思い込もうとしても、落ち着かない心臓。
恐怖。不安。戸惑い。
これが今の自分の気持ちを占めていた。
数秒か数分が経った後、前触れも無く声が響いた。
「選ばれし者よ、我の願いを叶えよ。汝は我の世界を救わなければならない。それが使命だ。もちろん、汝が不便ではないように、取り計らおう。では、健闘を祈る」
そして、気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!