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第一章
魔法科学の世界、ギアバトラ。
その中の一つの大陸、バルト大陸。
その大陸の砂漠に一人の女の子がいた。気を失っているのか、彼女はピクリとも動かない。
焼けつくような暑い日差しの中、火傷してしまうほど熱を含んだ、サラサラな砂が彼女の周りに拡がっていた。
年は十六、七歳くらいの女の子で、薄茶の混じった黒髪、顔立ちは少しふっくらした普通の顔、そして身長は百六十くらいだった。
ピク。
瞼が少し動く。少しずつ、意識が覚醒してきたのか、瞼を振るわせている。
カッと、瞳を露わにし、微かに茶色の入った黒眼で、辺りを見回しながら、ゆっくりと立ち上がった。
(ここどこだろう?……あの声がいっていた世界なのだろうけど……なんで砂漠なの?)
頭に浮かんだ疑問を整理しながら、今の状況の把握に努めた。
自分が異世界に連れてこられた事、その世界を救うために行動しなければならない事、そのために必要な情報収集、今この場所の把握と生きるために必要な衣食住をどうするか決めなくてはならない。その上で、どうやって世界を救うための行動を起こすのかも、決める。
マコは今の状況を冷静に考えていた。ワクワクする気持ち押さえながらも、冷静だった。いや、冷静になろうとしていた。
実際は、憧れだった異世界にいざ来てしまって、抑えきれない高揚と、どうすればいいのかという少しの戸惑いと、本当に世界を救うことができるのか不安になる気持、なんとかなるだろうと楽観視する気持などが、マコの心を支配していた。
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