第一章

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 数分後。  暑さに嫌気がさしながら、ただ真直ぐに進む。  全然何の影も見えなかった前方から、音がしてきた。  ドッドッドッドッ。  少しずつ音の方に近づいて行くと、砂煙を熾しながら何かの影がこっちへやってくる。だんだんと馬に乗った人影が見えてきた。 すーうっと、息を吸いお腹に力を入れて、  「すみませーん」  大声で叫んでみると、近づいてきた人達が気付く。ラクダのような動物に数人が乗っていた。  少し経ってマコの前までくると、ローブを着た五人の中の一人が話しかけてきた。  「おい、どうした?」  やっぱり、男の言葉はわかったので安心しながら聞いた。    「すみません。道に迷ってしまい、町がどっちだか分らないんですが……教えてもらえますか?」    五人の人たちは一瞬だけ顔を見合せ、マコの言葉が通じたのか、先ほど聞いてきた男が言った。  「ああ、いいぞ。それか、もしよければ、これから近くの国まで送ろうか?」  「え、いいんですか?でも…迷惑じゃあ……」  少し警戒しながら、迷惑にもなるかと思い言葉を濁した。  悩みながら、どうしようか考えていると、ふっと思い出し、袋を手にする。  袋の中から地図を取り出して、男のほうに見せながら、眼を見て話した。  「この地図を見て、方角を教えてもらうだけでも助かるんですが…」  「でもここから歩いてだと、かなりかかるぞ。このラクダに乗っていけば、一日もかからないぞ」  「そんなにかかるんですか?……もしよければ、送ってもらってもいいですか?」  「ああ、いいぞ」  食料も数日分しかなかったので、仕事を探す時間を考えると、早く国や街に着いた方が得策だった。  「ありがとうございます」  笑顔でお礼を言って、頭を下げる。  (よかった。すぐに人が見つかって。少し怪しいけど、いろんなことを聞こう)    笑顔全開、この世の幸せが全部マコに、集まっているかのようだ。そんな幸せいっぱいの笑顔のマコをおいて、いつの間にか、話しかけてきた男の馬に、乗ることになっていた。
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