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いつも通り、勇気と二人で家路に着く。
もう既にそこからおかしかったんだ。
普段なら何となく、勘が働く。
なのに今日はそれがなかった。
でもそんなことなんて気にも止めずに勇気と二人でバカなこと言いながら笑ってた。
大きな通りに出た瞬間、やっと頭が動いた。
ーーーあれ、嫌な予感がするーーー
俺の勘は何となく、という物ばかりでハッキリと"嫌な予感"というのは今まで一度もなかった。
冬で寒いはずなのに冷や汗が止まらない。
「有希歩?」
反応が止まった俺を不思議に思い、顔を覗き込んできた勇気の腕を掴み、思いっきり人混みにぶん投げた。
「有希歩っ!?」
「うわっ!?」
飛んできた勇気を受け止めたイケメンな男性と勇気のCPを想像してコッソリ萌えながら、俺は、
"明らかに勇気のいた場所に落ちてきた"鉄骨に自分の体が押し潰される音と圧迫感を感じ、目を閉じた。
これが、全ての始まりだった。
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