序章

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「忍よ、確かにお前の言うとおりそれは合理的だ、だがなぜお前はそこまでして俺を学校に行かそうとする。その理由が分からん、それが分からない限り学校には行く気にはなれないな」 「そ、それは~……だっていくら何でも一人じゃすずかが可哀想でしょ…」 「一人?すずかには親友が居ると先ほど自分から言っていたではないか。なのになぜすずかが学校で一人なのだ?」 「同年代のすずかの友達ですずかの悩みを知っているのは悟志君くらいでしょ…だからすずかも自分のことで学校でも悩んでしまうことがあるかもしれない…だからすずかの隣に居て欲しいのずっとじゃなくていい、学校でもどこでも気軽に相談できる相手になってほしいのよ。それにタダでとは言わない、もしすずかと同じ学校に行ってくれるというなら私たち月村家が貴方の歳でも雇ってくれる職場を提供する。だから…」 その話を聞いて遠い昔の自分を思い出した。それは俺がまだこの力を手に入れ始めて他の世界に飛んだ時のことだ、親しくなった人間が居た。でも俺は自分の正体が言えなかった…怖かった親しくなった人が何処かに行ってしまうのが…だけど時間が経ち俺は力を使った、その親しくなった人間の目の前でそいつを助けるために…だけどそいつは俺が手を差し伸べると言った「化け物…」やっぱりだったこれが人間だ、どんなに親しくなっても異常な力を持つものはそれが何であろうと「化け物」になる。だから俺はすずかの気持ちがよく分かった、親しくなった人たちが自分を嫌うのが、離れるのが、怯えられるのが怖いと思う恐怖を…だから俺はあの様な者たちを支えるのも俺の使命なのだろう。 「分かった学校には行こう」 「そ、そう!それは良かった~」
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