序章

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~遡ること数分前~ ~sid悟志~ 「だから、さっき言った俺の就職先はどこにする気だと聞いたんだ。はっきりとは決まってなくても、ある程度はというか職種くらいは決まっているのだろうな」 「ああそのことね、大丈夫よ貴方にきっとピッタリな仕事よ、ファリンは悟志君をお願い、ノエルはすずかを連れてきて頂戴」 「「分かりました(分かった)」」 ファリンとノエルが返事をするとファリンは俺の手を握り俺をどこかへ連れて行った。 そして連れてこられたのは更衣室だった。さらにファリンの腕にはビニール袋に入ったタキシードに似た黒い服だった。 「ファリンそれは?」 「執事服でございます」 「なぜお前がそれを持っている?」 「忍様のご指示だからです」 そのファリンの言葉により俺は大体の察しが付いた。先ほどの話のすずかの件だろう。きっとなるべくプライベートでも気軽に俺と面と向かって相談事が出来たらといったところだろう。 俺は有無を言わずに黙ってその執事服を着て忍のところへ戻り今に至る。 「それで忍お嬢様、私(わたくし)はこの家の執事として雇ってくれるそう言う解釈でよろしいのでしょうか?」 俺は少しイラついた声色で質問すると忍は逆に笑顔で「ええ、そうよ」と言った。 「だけど少しだけ違うわ。貴方は月村家の執事でもこの、すずかの専属執事として働いてもらいます」 「「え、えええええええええええええええええええ!!」」 俺とすずかの声が完全に一致し俺は何と言ったら言いのか分からない、そんな心境だったがやはり黙ってられなかったので反論した。 「ちょっと待ってくれ忍お嬢様、俺は別に構わんがすずかお嬢様はいいのか?確かにその役職ならばすずかお嬢様の力にもなれるだろうが、すずかお嬢様は良いのか?というかその話は聞いていたのかすずかお嬢様?!」 そう尋ねるとすずかは「お嬢様…」とつぶやくと頬を少し赤らめノエルが注いだと思われる紅茶に砂糖を3つも入れてこちらの話を聞いていなかった。お嬢様とは言いなれているとは思うが何故かとても嬉しそうだなすずかは… 「すずかにはまだ言ってはいないわ。でもすずか別に良いよね悟志君が貴女専用の執事になったら四六時中貴女のそばに居てくれるのよ…それは貴女にとってとても良い事だと私は思うけど」
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