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忍がそう言うとすずかは「私専用……」とまた呟きながら先ほどよりも顔を赤らめていた。というかなんかとてもうれしそうな顔をしているのだが…
「という訳ですずかも異論がないそうだから構わないわよね悟志君?」
「……確かに俺自身は構いはしないが俺の執事としての腕を知らなくても良いのか?というかすずかお嬢様、専属と専用は意味が違うからな」
俺がそう言うと忍はにやりと笑った。
「別に悟志君が執事の腕が低くても私もすずかも構わないわ、でも貴方が自身が無いなら他の仕事を考えなくはないけど…」
「ほほう、ということは忍お嬢様はこの私に喧嘩を売っているわけか…いいだろう私の実力みせてやろう。ファリン厨房はどこだ案内してくれ」
俺はファリンに案内させて厨房に向かった。
◇――――――――◇
「さてと始めるか。えっと今は4時だから軽めの物でクッキーってところか、えーっと材料と道具は……」
そう言いながら俺はエプロンをして作業に取り掛かった。さぁ戦闘開始(ちょうりかいし)といこうか。
~sidファリン~
私はこの方と実際に会うのはこれが初めてで見たときはこの方はお嬢様たちの敵になるのではと思っていました。その眼はいつでも私たちを始末できる、そんな目をしていました。ですがお嬢様たちと話しているとそんな目をせず穏やかな目をしていきました。すずかお嬢様もこの方に口説き落されてしまいました、この方は根っからの天然の女誑ししかも自覚症状は皆無と言ったご様子でもきっとこの人が次期月村家当主となるでしょう。
ですがこの方は今は月村家の執事となる方、私はメイド長としてこの新米執事を育成する義務があります。だが、この人は鮮やかかつ文句のつけようのないほどの素晴らしい手際でクッキー作ってらっしゃる。たかがクッキーと馬鹿にする人もいますがこの人はまるで人が普通に歩くかのごとく淡々と作業をこなしていくこの姿、私に何か教えることはあるのでしょうか……
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