序章

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「ノエル、お嬢様たちのカップをお下げして新しいカップを、お嬢様方失礼します」 ノエルは悟志君の指示に従い私たちのカップを下げ、カートに新しいカップを用意した。当の本人はお皿に綺麗に盛ったクッキーをテーブルの中央に置き、カートに置かれたあたしいカップに新しいお茶を注いだ勿論恭也さんの分も。 というかそれ以前にいくら実連例が高齢者だからと言ってノエルに自然に指示を出しているあたり悟志君は見た目が子供だから余計偉そうに見える。 だが全く違和感がない。 そんな事を思っていると悟志君は私たち3人分の紅茶を用意した。だけどその行動一つ一つに無駄はなく音も一切無く動きも洗練されていた。 「お待たせしました、お召し上がりください」 そう言って悟志君はすずかの後ろに静かに控えた。 私たちは紅茶を一口飲み、クッキーを口に運んだ。 紅茶の香りと甘み、クッキーの外はサクッと中はしっとりとした食感そして控えめの甘さ、すべてがマッチした二つ。 全てが二人を上回る。 こんな紅茶やクッキーはお目に掛かれない。これじゃあすずかにもったいないかもなあ~ 「はあ、私の完敗。悟志君、すずかの専属執事としてよろしくお願いね。それからたまに私の相手もよろしく」 「かしこまりました。忍お嬢様、そしてこれからよろしくお願いします。すずかお嬢様」 私の言葉に、悟志君は静かに礼をする。 全てが完璧な執事。 これは完全に私の負けだ。 そして、月村家に新たな執事が誕生したのである。
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