第一章

5/46
前へ
/70ページ
次へ
そしてHRが終わり一時限目までの休み時間になった。 当然転校生である俺はクラスメイトの好奇心の程の良いカモになった。 「光瀬君ってどこから来たの?」 「前はどんな学校に通ってたの?」 などといっぺんに聞かれた。 俺は聖徳太子じゃあない!神様だけれども…… 「ハイハイ、みんな悟志が困ってるでしょ。色々聞きたいのは分かるけど順番に聞きなさい、順番に」 そうやってアリサがみんなを仕切ってくれたで少し楽になった。 できれば質問攻めに合わなければもっと楽だが、それは言わないことにしよう。 こうしてこの質問攻めで休み時間が過ぎていったのは言うまでもない… そして次の休み時間、俺はアリサに先ほどのお礼を言うことにした。 「アリサ、さっきは助かった。ありがとう」 「別にお礼なんていいわよ。これでも私はクラス委員長なんだから」 アリサは胸を張ってそう言った。 正直かなり意外だった。 だが確かにアリサみたいな人物が委員長なら、クラスも賑やかでいいかもしれないな。 そんなことを思っているとアリサが不思議そうな目でこちらを見ていた。 「な、なんだアリサ、俺の顔に何かついてるか?」 「いや、そういう訳じゃあないんだけど…あんたバスの中でなのはやすずかとやたらと仲良かったから何でかな?と思ってね」 「ああ、そのことか。こっちに引っ越してきたときに色々あって高町家に一晩だけ泊めてもらったんだ。その時になのはと知り合ったんだ。そのあと、月村家に挨拶に行った時にすずかと知り合ったってわけさ」 そう言うとアリサは「ふーん」と興味が無いというよりは、俺がまだ何か隠しているのでないか、と疑っている感じで俺を見つめてきた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加