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「おい、声が大きいぞ……少し静かに」
「こっちから声がするぞ!」
「さっきの犯人かもしれない、行くぞ」
クラウドと自称する男の言葉を遮る用に、そんな声と共に階段をかけ上がってくる足音がいくつか聞こえる
これは助かるチャンス
「たーすーけーてー!ロリコンに襲われるー!」
「バッ!テメッ!勘違いするような事言ってんじゃねえ!…って、ああくそっ!リク!お前が死体処理に手を抜くから、ほら見ろもうバレちまったじゃねーか!」
「クラウドだ。それにバレたのはお前がはしゃぐからだ……そんな事より早く逃げるぞ」
自称クラウドはビルの窓を開けながら、そう言う
「……ああ、わかってる」
テラは、舌打ちをしてナイフを懐にしまう
よかった……これで助かる……
「ほら、てめぇもだ」
「はえ?」
と思ったのもつかの間、テラは僕の体を軽く持ち上げると、窓の冊子を蹴り勢いよく隣のビルに向かって跳躍する
「うおおわあああああああああああ!」
落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる!
「うるせえ!」
テラは綺麗な放物線を描いて見事に隣のビルの窓を突き破り、中に侵入する
「へぶっ」
その際に、僕は舌を噛んだ
「ふっ……とう!…あっ!」
自称クラウドも窓の冊子に飛び乗り、両手を広げて勢いよく跳躍するが、つま先が引っかかってしまい、情けない声を上げて真っ逆さまに落下する
「……………」
「……………落ちましたけど」
僕は、さっきのビルを指差しながらそう言う
「…………行くか」
「放っておいて良いんですか?」
「知らん」
バッサリと切り捨てるテラさん
因みに
「…………コートを着ていて、助かった」
自称クラウドは無事でした。
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