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「だーれだ?」
それは聞き覚えのない幼い子供の声であった。
「えと、誰ですか?」
景壱が、そう口にした瞬間目を覆ってた物が離れる。
後部座席を覗くと藁で編まれた傘を被った男の子が無邪気に、にまぁと笑っている。
「分からなかったの? 僕だよ、お父さん」
最後の言葉を聞いて景壱は頭が真っ白になった。
目の前の子供はお父さんと、確かに口にした。しかし、いくら考えても、一時の過ちを犯した様な覚えはない。
子供の顔も自分に似ている部分はない様に思えた。
「お父さん何してるの? お仕事遅れちゃうよ」
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