汚れのない純粋

4/37
前へ
/495ページ
次へ
「だーれだ?」 それは聞き覚えのない幼い子供の声であった。 「えと、誰ですか?」 景壱が、そう口にした瞬間目を覆ってた物が離れる。 後部座席を覗くと藁で編まれた傘を被った男の子が無邪気に、にまぁと笑っている。 「分からなかったの? 僕だよ、お父さん」 最後の言葉を聞いて景壱は頭が真っ白になった。 目の前の子供はお父さんと、確かに口にした。しかし、いくら考えても、一時の過ちを犯した様な覚えはない。 子供の顔も自分に似ている部分はない様に思えた。 「お父さん何してるの? お仕事遅れちゃうよ」
/495ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1504人が本棚に入れています
本棚に追加