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頼む、と頭を下げられ、気が乗らなさそうな表情のまま恭治は頷く。
「でも、ちょっと遠いよぉ。タクシー呼ばないとねぇ」
携帯でタクシーを呼ぼうとする恭治の服の袖を送り狼が噛んで引っ張る。
「必要有りません。私の背に乗ればあっという間ですから」
「大丈夫? 皆、軽くても二百㎏近くになるよ。潰れない?」
「そんなに柔じゃないですよ」
そうは言っても景壱が躊躇っている間に皆、送り狼の背に乗っていた。
「ね、何ともないでしょ?」
恐る恐る景壱も送り狼の背に乗ると、その瞬間、風を感じた。
掴む場所もなく景壱は振り落とされないようにするのがやっとである。
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