汚れのない純粋

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景壱は男の子を抱えて、車から飛び出す様に降りると店まで走り出した。 恐らく、子供は妖怪だろうな、と思ったからである。だから、一刻も早く子供の正体を店長か誰かに教えてもらおうとしたのだ。 子供の肌が氷の様に冷たく、店に着くまでに触れていた手のひらの感覚が無くなっていた。 「お父さん、さっきの面白かったよ。次は何して遊んでくれるの?」 「ちょっと待ってね。店長~、早く来て下さい!」 がらがら音を立てる店の戸を開け、景壱は声を張り上げる。 「たく、何だよ。こっちは忙しいんだよ」 ゲームのコントローラーを握り締めながら、店長は不機嫌そうに言う。 「お姉さん、遊ぼう」 子供は店長に笑顔で近付く。 「おー、可愛いな坊主。どっから来た」
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