汚れのない純粋

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「ああ……」 彼には思い当たる事が有った。 昨年の冬、中々就職が決まらずに溜め息を吐きながら景壱は面接会場に向かっていた。 その時、僅かに雪が積もっていたので願掛け代わりに雪だるまを作ったのだった。 願掛けも虚しく、その面接に落ちたのだが、その事を今の今まで忘れていたのだ。 「だから、俺がお父さんて訳か」 「冬が過ぎたら居なくなり次の冬に、また現れるらしいですよ」 楽しげにモコちゃんと遊ぶ雪童子に目を遣りながら景壱は少し寂しげに微笑む。 「来年も会えるのは良いけど、短い間しか居れないのか……」 自分で、そう言ってから景壱は雪童子に情がわいている事に気が付く。
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