汚れのない純粋

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「お父さん、どうしたの?」 心配そうに景壱の顔を雪童子は覗く。 その頭を撫でながら景壱は「何でもないよ」と答える。 「そう言えば君、名前は有るの?」 「名前? 無いよ」 「そっか。じゃあ、何か名前を付けなきゃ。うーん、真白(ましろ)てのはどうかな」 雪童子は実感が湧いて居ないのか暫く、ぽー、としてたが名前を付けられたのが嬉しかったのか「うん」と力一杯頷く。 「じゃあ真白、何がしたい?」 単なるエゴかもしれないが出来る範囲の事を、やってあげようと彼は思っていた。 「鬼ごっこ! お父さん、鬼ね」 そう言うなり、真白は店を飛び出した。 「待て、捕まえちゃうぞ」 景壱も手加減をして、ゆっくり、その後を追う。
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