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元軍人がそうコメントしたところでCMが入り、カンナがふぅと大きく息を吐いた。
話に入り込んだわけではなく、突拍子もないことを言われないかとどこか緊張していたようだった。
「…カンナ、車出して」
エティアがTVを睨み付けながらソファから立ち上がるので、カンナが怪訝そうな顔で彼女を見上げた。
「どこ行くんだ?」
「これを放送してるTV局。放送止めさせるわ」
「何言ってるんだよ」
カンナが慌てて立ち上がり、ドアに向かっていたエティアの腕を掴んだ。
「離して!」
「落ち着けって」
「こんなデタラメ、黙って見てろって言うの?私はマインドコントロールもされていなかったし、むしろグレイスの方が操られていたのに、これじゃグレイスだけ悪者じゃない!」
悔しさからか涙を浮かべてエティアが反論するので、カンナは腕を引き逃げないよう腕の中に閉じ込める。
「今、お前が行って放送止めたって、何の解決にもならないだろう」
「だけど、これじゃグレイスが帰ってきた時にグレイスが嫌な思いをする。これまでの私以上に嫌がらせにもあうわ。それは嫌なの!」
比較しないようにはしているが、彼女は俺のためにここまで必死になるか?とカンナは考えてしまった。
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