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『エティアさん、TV局を訴えましょう』
再び携帯を耳に当てると、キャシーがそう伝えてきたのでエティアは持つ手に力が入る。
「訴える?出来るの?」
『今、キリナに確認してもらったわ。エティアさんとクレアさんの映像の使用許可、事務所に取っていないそうなの。それに時折VFやクォーターが写っていたでしょう?それにフォールドクォーツのことも話していた。マスコミにはその辺のことを報道規制かけているのだけれど、それを無断で報道したのだから、十分訴えられるわ』
「…グレイスのことも含めて?」
『この番組自体が内容不十分だったって局に認めさせて、訂正の放送をさせることが出来れば…名誉は守られるんじゃないのかしら』
「どうして?どうして、そこまでしてくれるの?」
エティアの質問に、キャシーの穏やかな優しい声が返ってきた。
『前にも言ったでしょう?大切な人たちを守るのが私の役目だって。私にとって大事なものはSMSだけじゃない。エティアさんやクレアさんも大切な人だもの。そのエティアさんがグレイスさんを大切に思うのなら、私も出来る限り力になるわ』
いつの間にか込み上げていた涙が一筋頬を伝うので、エティアはそれを指で拭った。
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