第1章

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 夕食を終えてエティアはソファーの上で寛ぎ、最近ハマっているという携帯電話のゲームに没頭し、カンナはキッチンで後片付けをしていた。  いつもの変わらない風景だったが、その平穏な空間はあるTV番組の音声で破られた。  エティアはふと耳に入ってきた音楽に気を取られ、視線を手元の携鯛からTVの方へ向けるとそのまま釘付けになった。 「これって…」 「どうした?」  ちょうど洗い物を終えたカンナがエティアの横に座り、顔を覗き込んでから同じようにTVに視点を転じた。  TVでは酷く画質と音声の悪い状態で、エティアとクレアが歌っている映像が流れていた。  銀河を代表する歌姫二人の映像など特段珍しいものではないが、エティアが見入ったのには理由がある。  二人の衣装や歌っている場所を見ると、どうやらバジュラたちとの最終決戦の時の映像のようだった。  あの状態でTVカメラが回っていたとは思えなかったが、現に今こうして流れているのだから、秘かに撮られていたのだろう。  時折、バジュラクィーンに画面が切り替わるが、クィーンの周りを高速に飛ぶVFの姿が捉えきれず、すぐに歌っている二人にカメラが戻る。  TV画面の端の方には小さく「あの時何が起きていたのか?」などとスーパーが出ていて、特別番組らしかった。
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