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『敵だと思われていたバジュラたちに私たちは守られた。あの時、一体何が起きていたのか。私たちは取材を進めた』
TVからはそんなナレーションが流れ、画面が一度暗転すると次に映し出されたのはある小さなビルの入口だった。
そこから帽子を目深く被ったクレアが出てくると、一斉にレポーターやカメラマンが押し寄せ矢継ぎ早にマイクを向けて質問を始めた。
『クレアさん、エティアさんの行方はご存じですか?』
『あの爆発を間近でご覧になった感想は?』
『あの時のことで知ってることはありますか?』
クレアはそのまま取材陣を無視して歩き出すが、それで引き下がるレポーター達ではない。
クレアの後を追いかけながら質問を繰り返していると、クレアがピタッと歩みを止めて勢いよく振り返った。
『皆さんが何があったのか知りたい、エティアさんのこと心配している気持ちも分かります。でも私から話せることはありません。皆さんが私のことこうして囲むと、社長やスタッフの皆が心配するんです。なので、もうこれ以上追いかけないで下さい。お願いします』
クレアはそう言うと深々と頭を下げて、しばらく顔を上げなかった。
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